Chapter

01

In Residence

Robert Johnson, Offenbach

世界12カ所のベスト・ダンスフロアーでの祝祭

In 2016, RA's In Residenceシリーズは、2016年の1年間を通して世界12カ所のベスト・クラブを巡りながら各地でそれぞれ1ヶ月間にわたってパーティを開催し、クラブカルチャーを讃えようという企画である。クラブという空間は、日々脈動するダンスミュージックにとっての心臓部といってよく、今年我々が巡る12カ所のクラブは各地のシーンを盛り上げつづけている重要なヴェニューである。週末が訪れるたびにクラブのドアは開き、その中ではわたしたちの愛する音楽がプレイされている。

パリのConcreteに続いて我々が訪れる次の目的地は、オッフェンバッハのRobert Johnson。5月の1ヶ月間、我々はこの特別なクラブを舞台にスペシャルなバック・トゥ・バックDJセットのシリーズを用意した。このキャパシティ250ほどのクラブは、その卓越したクオリティを誇るサウンドシステムと洗練されたブッキング・ポリシーによりハウス／テクノ・シーンにおけるヨーロッパ屈指の名門クラブとしての評価を揺るぎないものにしている。1999年にオープンしたRobert Johnsonはフランクフルト周辺のシーンにおける中心地であり、最も高い尊敬を集めるクラブである。

各地のクラブへそれぞれ1ヶ月間にわたって滞在するにあたり、我々はそれに連動した特集記事を展開していく。さまざまなメディアを組み合わせ、これらの象徴的なクラブの全貌を捉えていこうと思う。

May 07 RA In Residence, Robert Johnson, Offenbach
feat. The Black Madonna VS Mike Servito

May 14 RA In Residence, Robert Johnson, Offenbach
feat. Ata VS Gerd Janson

May 21 RA In Residence, Robert Johnson, Offenbach
feat. Motor City Drum Ensemble VS Jeremy Underground

May 28 RA In Residence, Robert Johnson, Offenbach
feat. Prosumer VS Lexx

Chapter

02

主要情報

Robert Johnsonの概要

01
所在地
Nordring 131, 63067 Offenbach Am Main, Germany
02
オープン
1999
03
サウンドシステム
Martin Audio
04
ダンスフロアーの数
1
05
キャパシティ
250
06
レジデントDJ
Roman Flügel, Lauer, Gerd Janson, TCB, Benedikt Frey, Aziesch, Orson Wells, Benjamin Milz, Ramone, Vincent Feit, DJ Slyngshot, Max Vaahs, Cedric Dekowski, Felix Reifenberg, Manuel Schatz, Martyné, Oliver Hafenbauer, Ata

Chapter

03

歴史

シンプルさこそが信条

Robert Johnsonというクラブにおいては、すべてにおいてシンプルさが徹底されている。ハウスおよびテクノにおける最重要クラブとも言われるこのキャパシティ約250人のヴェニューは、その密度とサウンドクオリティの高さによって名声を得てきた。Martin Audioによるパワフルなスピーカー群はクラブのミニマリスト的内装にとけ込んでおり、ハウス／テクノ界のベストDJたちが毎週末に鳴らすそのサウンドシステムは世界的にもベストのひとつと言われている。1999年にオープンしたRobert Johnsonは、フランクフルト周辺地域におけるハウス／テクノ・シーンの中枢を担ってきた存在でもある。フランクフルト中心部から6kmほど東へ離れたオッフェンバッハに位置するこのクラブは、かつてOmenやDorian Grayといったこの街に名前を刻んできたクラブの伝統を現代に引き継いでいる。ある意味では、Robert Johnsonはかつて90年代にフランクフルト・エリアをハウス／テクノの世界的ホットスポットに押し上げた豊潤なエレクトロニック・ミュージックの歴史遺産を守る最後の砦ともいえる場所なのだ。

AtaとSebastian Kahrsという2人のローカルDJがこのRobert Johnsonを立ち上げた時、フランクフルトのハウス／テクノ・シーンはまさに黄金時代を迎えた最中であった。フランクフルトからはPlayhouse、Force Inc. Music WorksそしてPerlonといった新たなレーベルが続々と登場し、ダンスミュージックの素晴らしくも奇妙な領域を打ち出した彼らのサウンドは多くのDJやクラバーを惹き付けつつあった。フランクフルト・シーンで今も活躍する重要アーティスト／DJの多くは、皆その活動初期からRobert Johnsonと深い関わりを持ちつづけてきた。その中の1人に、AtaやHeiko MSOと共にPlayhouseの運営にも携わっていたRoman Flügelがいる。「Playhouseの事務所で、Ataがある空き物件について話していたのを憶えているよ」とFlügelは切り出し、さらに続ける。「オッフェンバッハのデザイン＆アート・スクールで教授を務める人物が、ある物件が空室になっていると言ってAtaに話を持ってきたんだ。後にRobert Johnsonとなる建物のね。Ataは、当時から理想とするクラブのイメージをはっきりと彼の頭の中に描いていた。一切のブランド戦略を排除したRobert Johnson独特のポリシーも、当時から彼の構想の中にあったんだ。彼は、酒のボトルに印刷されている銘柄のラベルさえも嫌って、わざわざ何も書かれていないボトルに酒を移し替えていたくらいだったからね」

「僕はRobert Johnsonがオープンした最初の週からここでプレイしている」とFlügelは語る。「フランクフルトの人たちに、わざわざオッフェンバッハまで足を運んでもらうことがまず大きな課題だった。あの当時、フランクフルトに住んでいる人たちはわざわざ市外のクラブへ遊びに出掛ける習慣はなかったから。決して順風満帆といえるスタートではなかったよ。みんながRobert Johnsonのラインナップの面白さ、居心地の良さに気付くまでは1年以上の月日を要したね」

以来、さまざまな世代のDJやクラバーたちが数多くRobert Johnsonのドアをすり抜けてきたが、このクラブ独特の親密なコミュニティ感は依然として健在だ。FlügelをはじめRicardo Villalobos、Zip、Gerd Janson、Dorian Paicといったこのクラブの黎明期から繋がりを持っているDJたちは、今なお数ヶ月に1度はここを訪れてプレイしつづけている。それと同等に重要なのは、Robert Johnsonは常に地元フランクフルト・シーンの新たな才能の発掘に貢献しつづけてきたということだ。現在のフランクフルト・シーンで活躍している第一線のDJたちはみな、そのキャリア初期のティーンエイジャーの時代からRobert Johnsonを遊び場としてきた者ばかりだ。フランクフルトのダンスミュージックにおける誇り高き伝統は、過去10年間にわたってRobert Johnsonにこうした若者たちが集い、彼らが担い手となって引き継いでいるのだ。

「クラブっていうのは、その街のローカルのシーンを盛り上げなきゃ意味がない。とくに、若い才能をね」と語るのは、Robert Johnsonでミュージック・ディレクターを務めるOliver Hafenbauer。彼は続ける。「若い子たちにチャンスを与えるんだ。強いフットボール・クラブが下部組織の若い選手たちを上手に育てるようにさ。フランクフルトは比較的小さな街だけど、ここには若くて才能のあるアーティストがたくさんいる。もちろん、その全員の面倒を見るのは無理だけど、僕らは『こいつは伸びそうだな』っていうアーティストやグループ、レーベルなどをピックアップしてRobert Johnsonでプレイするチャンスを与えている。僕らが出来るのは、彼らに人前でプレイする機会を与え、注目されるきっかけを作ってやることぐらいだけどね。その後で成功するかどうかは彼らの努力次第さ」

現在Robert Johnsonでは、大きく分けて3つの若いグループがそれぞれパーティを展開している。まずはHardWorkSoftDrinkレーベルのクルーが手がけるSensualやTrafficといったパーティ。彼らはハウスやテクノ、エレクトロをカバーし、 Onur Özer、PrasleaそしてFrancesco Del GardaといったDJたちをゲストにブッキングしてパーティを行っている。もうひとつは、Stay and Back 2 Newというパーティを手がけるクルー。彼らはProsumerやSpace Dimension Controllerといったアーティストをブッキングしている。最後に、レフトフィールドなテクノにフォーカスするPresenceそしてThunder In Paradiseというパーティを手掛けるクルー。彼らは、最近ではPearson SoundやAnthony Naplesをゲストに招いている。

それぞれのクルーが押し出すサウンドに違いこそあれど、彼らはRobert Johnsonと共に深く長く結びついているというひとつの共通項がある。彼らがアーティストとして押し出すアイデンティティに対し、このクラブはぴったりと寄り添ってサポートしているのだ。パーティのない平日、彼らは自分たちで作ったトラックをRobert Johnsonのサウンドシステムでチェックし、そのまま週末になるとクラウドの前でプレイして反応を探る。彼らはそれぞれフランクフルト以外の街でも評判を高めつつあるが、あくまでも彼らの活動のキーとなっているのはRobert Johnsonというクラブの存在だ。「Robert Johnsonへ通うようになってから、もう10年は経つかな」と語るのは、HardWorkSoftDrinkレーベルを運営しCedric DekowskiとFelix Reifenbergと共にパーティを展開するDJ、Max Vaahs。「ここは僕にとっての音楽の学校みたいなものだよ。今僕の周りにいる友人は、みんなRobert Johnsonで知り合った連中ばかりだしね。毎週金曜はほぼ必ず遊びに行っていたし、5週か6週連続で遊びに行ったこともあるよ」

Orson Wellsもまた、Robert Johnsonでレジデントを務める若手DJの中から頭角を表しつつあるプロデューサーだ。現在24歳の彼は、Innervisions、777 RecordingsそしてLive At Robert Johnson（Robert Johnsonのインハウス・レーベル）といったレーベル群からメロディックなハウス12インチをすでに数多くリリースしてきている。彼もまたRobert Johnsonにおける若いローカル・タレントをサポートする姿勢の恩恵を受けてきたDJであり、彼がこのクラブで初めてプレイしたのは地元フランクフルトのレコードショップTactile Recordsが主催するパーティでのことであった（フランクフルトで最も良く知られたレコードショップ、Freebase RecordsもまたRobert Johnsonで定期的にパーティを主催している）。「最初に1人のクラバーとしてRobert Johnsonへ遊びに行ったときは、エントランスで跳ね返されてしまったんだ」と言ってWellsは笑う。「たしか、入場するまで2回か3回は跳ね返されたんじゃないかな。ようやく入れてもらえるようになってからは、かなり頻繁に遊びに行くようになったよ。Robert Johnsonはすごくリラックスした雰囲気で、とてもシンプルなクラブなんだ。誰にも邪魔されずひたすら音楽に浸り切りたいときは、暗いコーナーもいくつかあるしね」

「僕らみたいな若い連中にプレイするチャンスを常に与えてくれることに対して、本当にリスペクトしているんだ」とWellsは続ける。「フランクフルト以外ではほとんど知られていない素晴らしいDJやプロデューサーがこの街にはまだまだたくさんいるよ。こんなに小さな街だけど、耳の肥えた人たちがたくさんいるんだ。この街のローカルDJが一番良い音楽を知っているってわけさ」

ニューカマーに門戸を開くRobert Johnsonのオープンな姿勢は、高い名声を確立したクラブとしては異例とも言える。彼らと同等の知名度を持つクラブは、たいていネームバリューが確立されたビッグネームばかりをブッキングし、経験の少ないDJやプロモーターはほぼ眼中にない。それだけに、ローカルDJに活躍のチャンスを与えるRobert Johnsonの姿勢はなおさらユニークだ。この種の信頼関係は、クラブの運営にもしっかりと息づいている。「わたしたちはみんなひとつのチームみたいなものね」と語るのはKilla Schuetze。長年Robert JohnsonでレギュラーDJを務め、今では同クラブのエントランス業務担当として勤務している彼女はさらに続ける。「このクラブでは、信頼関係がすべてなの。バウンサー、私たちみたいにドアを担当する女の子たち、経営者、DJ、事務所で働くみんな — 私たちは共にお互いを信頼しながらこのクラブを動かしているの」

Robert Johnsonにおける成功の秘訣は、そのシンプルさに尽きる。良質なサウンドシステム、飾り気のない内装はスマートなブッキング方針とぴったりマッチし、素晴らしい結果を引き出している。

「ここにはDJがみんなから隠れておくためのバックステージのようなものはないんだ。クラウドやスタッフ、DJもみんな一緒になって同じ空間を共有するのさ」と語るのは、生まれも育ちもオッフェンバッハだというOliver Hualde。彼はRobert Johnsonのことを「みんなが集まるリビングルームみたいな場所」と表現する。彼はかのルーマニアン・トリオRhadoo、Raresh、Petre InspirescuをRobert Johnsonへ招聘した張本人だが、彼はこのクラブを隅々まで知り尽くしている。「ここでは、アーティストとクラウドの間に素晴らしい相乗効果が生まれるんだ」とOliverは語る。

Robert Johnsonにおける成功の秘訣は、そのシンプルさに尽きる。良質なサウンドシステム、飾り気のない内装はスマートなブッキング方針とぴったりマッチし、素晴らしい結果を引き出している。Schuetzeによると、Robert Johnsonの魅力的なシンプルさを象徴するあるひとつの風景があるそうだ。「その夜が素晴らしいパーティになってみんなが心ゆくまで踊って、最後にドアを出てそれぞれの家路につくとき、みんなが笑顔で『またね』って言い合うの。これって、その夜がビューティフルなものだったっていう証拠なの」

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04

Residents

写真紹介

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クラブを支える重要人物

Max Best

アーティスト・リエゾン（接待担当）

「僕はアーティスト接待の仕事を約3年間担当しているんだ」とMax Bestは語る。「Robert Johnsonへゲストを招くにあたり、この仕事で重要なのはアーティストたちにできるだけ我が家のような気分でプレイしてもらうこと。僕はアーティストたちを空港や駅へ迎えにいき、その時のスケジュールの余裕に合わせて一緒にお茶をしたり、レコードショッピングなどに案内するんだ。時々、そのままホテルへ直行して休むことを選ぶアーティストもいるけれどね。この仕事を始めてすでに数年が経つから、数多くのDJたちと接してきた。だから、彼らがだいたいどんなものを望んでいるかは理解している。Robert Johnsonでプレイするのが初めてというDJを迎える場合も、彼らが昼間や夜をどんな風に過ごしたいかはすぐに直感で分かるんだ」

Bestはもともとドイツ南西部のフランスにほど近いザールブリュッケンの出身だ。彼は約18ヶ月をベルリンで過ごした後、2012年にフランクフルトへ移った。彼は以前から自分のベッドルームにRobert Johnsonのポスターを貼っていたが、それを除けばフランクフルトにはほとんど馴染みはなかった。しかし、フランクフルトに移った彼はひょんな偶然からそのポスターをデザインした本人であるMichael Satterとフラットをシェアすることになったのだ。これを運命のあやを言わずして何と言おう。

「ほとんどのDJは、Robert Johnsonへ来るとすごく穏やかに接してくれる。過去数年の間、ほとんど問題や事件らしいことには遭遇していないね。思い出せることと言えば、『あのDJとはどれぐらいたくさんの酒を飲んだっけ？』ってことぐらい。僕は酒ですっかり出来上がったDJをしっかりプレイさせるコツみたいなものを心得てるのさ。なんてことない冗談を言いながら、ちょっとづつDJをブースのほうへ誘導していくんだ。彼らが気付かないうちにね。まあ、プレイ後にすっかり酔っぱらったDJをブースから引っぱり出す時のほうがもっと笑えるけど、実際はそれもけっこう大変なんだ」

「ゲストからは、他の街のクラブがどんな様子か話を聞くようにしている。僕らのようなクラブとは違うところも多いからね。中には、ゲストを空港から1人でタクシーで移動させて、ホテルの部屋で1人で食事させて、迎えもなくクラブへ向かうとすぐにブースに連れて行かれ、プレイしたあとは『はい、お疲れさま』って感じのクラブもあるみたいだからね。まあ、Robert Johnsonではこんな素っ気ない接待は絶対に有り得ないけどね」

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サウンドシステム紹介

Martin Audio

「最近では、レコードをターンテーブルに置いてフェーダーを上げていくときにフィードバック・ノイズがなければもうそれだけで満足しちゃうんだ。いちいち調整する必要がないんだよね」とMax Vaahsは語る。Robert JohnsonでレジデントDJを務める彼は、このクラブの良質なサウンドシステムにすっかり習熟している。いっぽう、最近では彼も名前が売れてきたためにフランクフルト以外のクラブでもプレイする機会が増えてきているという。そうすると、いかに普段の彼がRobert Johnsonで恵まれた環境でプレイしているかを改めて再認識するという。「本当は比べるべきじゃないけど、どうしてもRobert Johnsonのサウンドシステムを基準に判断しちゃうんだよね。他所のサウンドシステムではなかなか満足できなくなってしまってるんだ」

ハイエンドなサウンドシステムとして知られるMartin Audioは、オーディオ・ギークたち — とりわけループ主体のハウスやテクノを好むクラバーたちを惹き付けている。Raum...musikのボスであり、長年Robert Johnsonにゲストとして出演しているDorian Paicは、このサウンドシステムを乗りこなす術を熟知する1人だが、彼にはプレイ中のサウンドクオリティを把握するためのひとつの基準があるという。「ブースの目の前には大型のメーターが用意してあるので、通常はそれを見ながらメインの出力レベルを105〜106 dBの間でキープしておくんだ。ただ、フロアーにたくさんのクラウドが密集すると中低域が相対的に不足するので、106 dBよりも少しだけ出力を足すようにしている」

「普段、他所ですごくエネルギッシュにプレイしているDJがRobert Johnsonに来ると、やはり同じように最初からレベルを突っ込み気味でプレイしはじめるんだ」とPaicは語る。「でも、しばらくするとRobert Johnsonでは必ずしも過度にレベルを突っ込む必要はないことに彼らも気付くはずなんだ。レベルを突っ込むことなく、空間に余裕を持たせたまま良好な音圧が得られるので、DJはよりディープなやり方が試せるんだ。サブベースをたっぷりと含んだトラックの魅力は、ここ以外でのサウンドシステムではなかなか体験できないだろうね。このサウンドシステムの乗りこなし方を発見するまではある程度の時間が必要だし、何度かプレイの経験を重ねる必要があるね。現在の僕個人としては、特定の帯域にフォーカスしながらプレイすることにこだわっているね。つまり、ベースやその周辺の低域さ。こうした低域がRobert Johnsonのサウンドシステムでどんな風に鳴るのかは正確に熟知しているつもりだよ。これは馴れていないとけっこう難しいことかもしれないね。Robert Johnsonでは、他のクラブで慣れ親しんだセットの組み立て方をいったん捨ててみる必要がある。すごく濃密でパワフルなサウンドだからね」

中には、Robert Johnsonのサウンドシステムが持つ能力を極限までプッシュするDJもいる。「以前ここでRicardo Villalobosがプレイしていた時、彼は105 dBを遥かにオーバーしたレベルでプレイしていた。もちろんフロアーは満員さ」と回想するのはVaahs。「当然サウンドは少し歪んでいたんだけど、非常に興味深い現象だった。音質は依然として素晴らしいまま、彼はそこに少しのラフさをわざと足していたんだ」

システム概要
- 6 x WF 3 ミッド／ハイボックス
- 4 x BLS 218 サブウーファー
- 2 x LE 1200 Wedge, DJ用モニター
- 2 x BLF 12, Delay
- DSP: XTA DP 548
- Crest Pro Series

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ミックス

Robert Johnsonを象徴するサウンド

Max VaahsとAzieschによる、Robert Johnsonに捧げたエクスクルーシブ・ミックス

基本的には、Ricardo Villalobosを迎えた時のウォームアップに相応しいレコードを探してみた。別に特定のアイディアがあったわけじゃないけど、あえて言うならエッジの効いたトラックは控えめにしたって感じかな。というのも、エッジの効いたレコードはRicardoがたっぷりプレイしてくれるからね。Robert JohnsonのDJブースがスペシャルな理由のひとつは、クラウドと限りなく近くでプレイできるってことさ。自分がやったことがそのまますぐにダイレクトに跳ね返ってくるんだ。それに、こうした素晴らしい環境で若い連中にプレイさせるOli（ミュージック・ディレクターのOliver Hafenbauer）の心意気は見上げたものさ。かく言う僕も、20歳の時に初めてRobert Johnsonでプレイするチャンスをもらったんだ。このクラブについて語ろうと思えばいくらでも語れるけれど、ひとことで言うなら「すべての面でパーフェクトなクラブ」ってとこかな。

大学に通いながら仕事もこなし、その上DJもやっている慌ただしい毎日を過ごしているけど、このミックスの依頼を受けて光栄だよ。このミックスを録るために家にあるレコード・コレクションをチェックした初日に、いくつか古いレコードを掘り返して、そこに最近のレコードを組み合わせてミックスしてみた。次の日には友人のChris BeisswengerことTCBの所へ行って、録音をデジタル化してバウンスして終了さ。特に大袈裟なコンセプトはないね。美味しいピザとレモネードのおかげで良いセットが出来たと思うよ。

この場を借りて、今回のミックス発表の機会をもらえたことに感謝したい。そして、周囲の友人たちやRobert Johnsonのクルーみんなからの変わりないサポートに感謝したいね。

Robert Johnsonについてもっと知りたいという人は、こちらからクラブのプロフィールを見ることができます。また、このシリーズについての詳細はIn Residenceページからチェック。